コンサルタントの仕事は、様々な業界の中でも特にレベルの高い仕事の1つです。
求められる地頭力、ビジネススキル、コミュニケーション能力などは事情に高く、また体力や精神力もタフに持ち合わせていなければなりません。
周囲に「優秀」と持ち上げられ、その期待に沿うようにコンサルティングファームに就職したものの、あまりのレベルの高さに絶望してしまう人も多くいるでしょう。
コンサルタントの離職率が高い理由の1つが、「仕事についていけない」ということです。
そこでこの記事では、コンサルタントの仕事についていけない理由や仕事についていけなくなった時の対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
コンサルタントの仕事がついていけなくて辛いと思う理由
コンサルタントが仕事についていけず、辛さを感じる理由はどんなところにあるのでしょうか。
周りが優秀
コンサルティングファームには非常に優秀な人が勤めています。
その傾向は、UP Or Outのルールが厳格な外資系コンサルティングファームで特に顕著です。
一方で、実際にコンサルタントになったあなたも「優秀」と周囲にちやほやされてきた過去があることでしょう。
しかし、コンサルティングファームに勤めることで、自分自身が井の中の蛙に過ぎなかったことを思い知らされるはずです。
自分自身が優秀であるということを過信し、変にプライドを持ち続けていると、周囲の優秀なビジネスパーソンに対して劣等感を覚え、精神的に辛くなるのは間違いありません。
また、その優秀さを認められない場合には、コンサルタントの仕事において重要な「周囲に聞く」ということもできなくなります。
コンサルティングファームに就職するのであれば、まずは「自分はビジネスパーソンとして優れているわけではない」ということを自覚して、謙虚な気持ちになることが先決です。
プレッシャーが大きい
コンサルタントは「クライアントの医者」とも言われる仕事です。
そのため、クライアントのビジネス上の問題点を洗い出し、それを解決していかなければなりません。
そこには、「売り上げが向上した」「従業員の残業時間が減った」「業務の9割をクラウド化できた」など、目に見える結果が必要です。
単に「一生懸命頑張ってくれた」というようなことだけでは、事足りません。
よって、コンサルタントは常にクライアント企業や上司から、成果に対するプレッシャーを受けることになります。
また、外資系コンサルティングファームの場合には、「成果を残せなければ即解雇」というルールを採用しているケースも少なくありません。
日系コンサルティングファームの場合にも、通常の日系事業会社と比べると、格段に求められる仕事の成果は大きくなります。
コンサルタントは常に様々なプレッシャーにさらされながら、なおかつ必ず成果を残し続けなければならないのです。
そのプレッシャーに耐えられなくなった結果、仕事を休職したり、退職したりするコンサルタントも多くいます。
上司や先輩の詰めが強い
確かな成果を求められるのは、あなた一人だけではありません。
すべてのコンサルタントが一様に厳しいプレッシャーのもとで仕事をしています。
そのプレッシャーが、大きなストレスとなり、上司や先輩から仕事に対して厳しい詰めを受けることも少なくありません。
特にマネージャークラスなどの立場にいる上司は、自分がマネジメントする部下が満足いく成果を残せない場合、プリンシパルやパートナーなど、さらに上層部からの厳しい詰めを受けることになります。
また、チームで仕事をする場合には、その仕事の足かせとなるようなメンバーに対して厳しい視線が向けられるのは当然です。
会社やチームの雰囲気によっては、自分はきっちり仕事をこなしているにも関わらず、理由もなく厳しい詰めを受けるという理不尽なこともあるかもしれません。
もちろん、実際に厳しい詰めがあるか否かは、どんな人が上司や先輩になるかによりけりです。
人柄が良い方の場合には、思ったほど詰めが厳しくないということもあるでしょう。
しかし、一般的な傾向として、コンサルティングファームには厳しい詰めがあります。
コンサルタントに忍耐強さや我慢強さが求められるゆえんです。
上司や先輩の厳しい詰めに耐えられなくなり、休職や退職に追い込まれるというケースも少なくありません。
長時間労働
コンサルティングファームは基本激務です。
月間の残業時間も長く、特に繁忙期には連日のタクシー帰りや休日出勤が重なった結果、残業時間だけでも100時間を超えることも少なくありません。
家に帰っても、完全にプレッシャーから解放されるわけではなく、常にどうすれば成果を残せるのか、ということを考えるコンサルタントもいます。
プロジェクトが炎上した場合には、睡眠中に社用携帯が鳴り、すぐに会社や常駐先に来るよう呼び出されることもあるようです。
息をつく間もなかなかないためリフレッシュできず、疲労や精神的ストレスが気づかぬ間にどんどん蓄積しているということもあるでしょう。
仕事をそのものにはやりがいがありますし、給与水準も非常に高いことが一般的なので、世間一般に言われる「ブラック企業」とは異なります。
そのため、長時間労働も苦に感じず、何ということはなく仕事を進められる人も少なくありません。
しかし、体力には限界がありますので、長時間労働が蓄積した結果、いつかは体調を崩してしまいます。
一方で、仕事の進め方が稚拙である結果、長時間労働になっているというケースも多々あります。
社歴が浅い場合には、そのことに気づかず、効率の悪い仕事の進め方をひたすら繰り返しているというケースも少なくありません。
なかなか落ち着いて物事を考える時間はありませんが、全体を俯瞰して、ゴールから逆算して仕事を進められるようになれば、自ずと仕事の効率が向上し、労働時間を短縮できるはずです。
コンサルタントの仕事がついていけなくて辛いと思った時の解決策
コンサルタントの仕事が辛くなった時、取りうるアクションは様々あります。
1つが退職することです。
コンサルタントという仕事が合わなかっただけで、ほかに自分が活躍できる環境はいくらでもありますから、環境を変えることは一つ有効な決断でしょう。
しかし、せっかく苦労してなったコンサルタントの仕事を簡単に捨てたくはないという人もいるはずです。
仕事で辛い状況に追い込まれても、それを打破することができれば、コンサルタントとして活躍することもできます。
そこで、コンサルタントの仕事が辛くなったときの解決策をいくつか紹介します。
自分が優秀な人材になる
コンサルタントの仕事の辛さを脱却するための最もシンプルな方法が、自分自身が優秀な人材になってしまうということです。
自分が優秀になれば、当然仕事の質を高めることができますし、周囲からも一目置かれる存在となります。
優秀な人とそうでない人が同じミスを犯した場合でも、優秀であるというだけで、お咎めなしに終わることも少なくありません。
「理不尽だ」「不公平だ」と思われるかもしれませんが、心理学の観点から、これは避けられないものです。
これを「ハロー効果」と言います。
そのため、仕事の辛さから脱却したいというのであれば、まずは自分自身が優秀な人材になることを心がけましょう。
自分を優秀な人材にするための具体的な方法について、いくつか紹介します。
会議は聴き込む
コンサルタントは日々、様々な会議に参加する機会があります。
例えばクライアントとの会議、社内のプロジェクトメンバーとの会議などです。
その会議で話される内容は、徹底的に聴き込むようにしましょう。
なぜなら、その後仕事を進める上での重要課題が話し合われるためです。
会議が終わった後に、もう一度資料を読み直して、というのではどうしても着手するスピードが遅くなります。
しかし、会議中に内容を聴き込み、概ね理解することができれば、会議後すぐに作業に着手できるはずです。
ここで1つ、「理解しなおす」という余計な工程を省略できたことになります。
工数が減るということは、労働時間の削減にも直結するものです。
また、スピード感のある仕事は周囲からの評価にも繋がるでしょう。
ミーティングには全力で臨む
ミーティングも全力で準備をして臨むようにしましょう。
具体的には、ミーティング前に論点や落としどころを整理しておいたり、予め資料全体に目を通して質問を用意しておいたり、ということです。
予め論点が整理されていれば、ミーティングに余計な時間をかける必要はありません。
一方で、しっかりと重要事項を共有することができます。
また、ミーティングの場は、質問をするいい機会です。
通常の仕事中は、上司が外出していたり、なかなか話しかけるタイミングが掴めなかったりと、質問ができないこともあります。
しかし、ミーティング中はそのような心配もありません。
また、質問及びその回答内容を参加者全体に周知できるというメリットもあります。
そして、ミーティング内容はしっかりと振り返り、実行できることはすぐに実行していくという姿勢も大切です。
疑問に思ったらすぐに相談
何か疑問に感じることがあれば、すぐに上司や先輩に相談することも大切です。
「こんな簡単なこと聞いても大丈夫なのかな?」と不安に思うこともあるかもしれませんが、間違ったやり方で進めてしまうと、後で膨大なやり直しが発生する懸念があります。
結果、自分自身の業務負担が大きくなるうえに、上司や周囲のメンバーにも迷惑をかけてしまうでしょう。
何度も何度も聞かれるのは鬱陶しいと思われるかもしれませんが、方向性が大幅にずれるよりは、圧倒的にマシになります。
相談した事項はしっかりとメモを残しておくなど、2度は同じことを聞かないようにして、似たような事項が生じた場合には、「きっとこのようにするのが正解だろう」と先回りして考えることも重要です。
そして、指摘された事項についてはすぐに修正するようにしましょう。
しかし、自分の頭で考えることの重要性も忘れてはいけません。
上司のフィードバックも踏まえつつ、自分自身の考えも加味して、仕事を進めていくのが大切です。
自分がクライアントの視点に立ってみる
コンサルタントは仕事が非常に忙しく、考えることはいつも目の前のことばかり、ということもあるでしょう。
確かに、まずは目の前の仕事に愚直に取り組むことが大切です。
しかし、それだけではいつまで経っても作業効率は向上しません。
それは、成果を残すための最短ルートではない可能性があるためです。
回り道をして仕事をしていれば、当然労働時間は長期化します。
無駄な仕事を徹底的に排除するためには、一旦視点を変えて考えることが重要です。
特に、成果に直結するクライアントの視点に立つのが良いでしょう。
自分の視点とは違った視点で考えることで、大きなヒントを得ることもできます。
時には仕事のことを忘れてみる
口で言うほど簡単ではありませんが、時には仕事を忘れてリフレッシュすることも大切です。
常に仕事で頭がいっぱいになると、常に脳のリソースが少ない状態で仕事をすることになるため、結果的に質の高い仕事ができなくなる懸念があります。
一旦リフレッシュしてみることも、プロフェッショナルの仕事の1つです。
コンサルタントの仕事は短距離走ではありませんから、多少遅れを取ったとしても、巻き返すためのチャンスは十分にあります。
むしろ、突っ走り続けて途中で倒れてしまうのでは、元も子もありません。
コンサルタントから転職をする前にキャリアについて考え直してみよう
上述のように、コンサルタントの仕事が辛くなったら、違う仕事に転職するというのも1つの手です。
健康に障害が出るレベルでの労働時間や理不尽な要求を受けまくるというような場合には、最優先で環境を変えることを考えるべきでしょう。
しかし、その後も幸せなキャリアが約束されているわけではありません。
むしろ、コンサルタント以上に過酷な環境が待っているということもあります。
そこで、コンサルタントから転職する際には、しっかりと自分自身のキャリアについて時間をかけて考え直すようにしてください。
考えた結果、コンサルタントを続けていくことが、自分に最適であるという結論になる可能性もあります。
まとめ:コンサルがついていけないと思ったら意識を変えよう
コンサルタントの仕事は確かに難しいです。
就職したはいいものの、想像以上に厳しく、全くついていけないということもあります。
しかし、仕事に慣れればなんてことはなかった、ということもあるかもしれません。
むしろ、コンサルタントに就職できる人は優秀ですから、気づいたら複数の案件を難なく回せるようになるということもあります。
仕事に慣れるためには、自分自身のビジネススキルを高めることが非常に重要です。
仕事がオフの時でも、勉強会に参加したり、ビジネス関連の書籍を読んだりして、自己研鑽に努めることで、効率的に仕事ができるようになり、コンサルタントという仕事を楽しめるようになるでしょう。
多忙な中ではありますが、是非、時間を見つけて自分のビジネススキル向上に努めてみてください。
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