近年、就活生からかなり高い人気を誇っている職業がコンサルタントです。
そのコンサルタントという職業には、「戦略コンサルタント」「総合コンサルタント」「ITコンサルタント」など、様々な種類があります。
この記事では、コンサルタントという職業のうち、「戦略コンサルタント」に特化して、その特徴や仕事内容、キャリアパスなどを詳しく解説しています。
「戦略コンサルタントを目指している」「戦略コンサルタントに興味がある」という方は、是非参考にしてください。
目次
戦略コンサルタントとは
そもそも戦略コンサルタントにはどんな特徴があるのか、詳しく解説します。
部署がない
戦略コンサルティングファームの特徴として、日系企業のような細かい部署がないことがあります。
一般的に、部署ごとに仕事をするわけではなく、プロジェクト単位でチームを組んで、そのチーム単位で仕事をするためです。
そして、プロジェクトが終了すると、チームは解散し、また新たに立ち上がったプロジェクトチームに参画するという形を取ります。
もちろん、人事部や経理部といった、バックオフィス関係の部署もありますが、一般的な戦略コンサルタントとして採用された場合には、特定の部署に所属しないことがほとんどです。
成果主義の傾向が強い
戦略コンサルタントの務めは、一言で言って、クライアント企業の業績を向上させることです。
クライアントとしても、自社の課題を解決するために、コンサルティングファームに高いコンサルタント料を支払っているので、コンサルタントはそれに見合った成果を収めなければなりません。
もし、満足のいくような成果を収められなかった場合、クライアント企業からの継続的なコンサルタント依頼を受けられなくなることもあります。
それはすなわち、会社にとって大切な顧客を失うということです。
つまり、コンサルティングファームの業績は、一人ひとりのコンサルタントの仕事の成果に大きく依存していると言えます。
だからこそ、他の業界と比べて成果主義の傾向が強いというのが、戦略コンサルティングファームの特徴です。
そのため、十分な実績を残せればその分、昇給や昇進の道が用意され、逆に満足な実績を残せない場合には、いつまでも昇給も昇進もできないという状況が続きます。
また、外資系の場合には、Up Or Outのルールが厳しく適用され、すぐに解雇されるということもあります。
ビジネスマンとしての成長環境が整っている
戦略コンサルタントは、非常に高いレベルでのビジネススキルを有していることが求められます。
また、日々「クライアントの課題解決」という答えのない問いに立ち向かっていかなければならないため、仕事の難易度がかなり高いのも特徴です。
そのため、一般の日系企業に見られがちな「マニュアル通りのルーチンワーク」のような、意義を見いだしにくい仕事に悩まされる必要はありません。
周囲の社員のレベルも非常に高く、誰もがバリバリ思考しながら仕事を進めているという中で自分も仕事をするため、自ずとビジネススキルは成長していきます。
その影響もあり、戦略系コンサルティングファーム出身者は、転職市場でも非常に市場価値が高い存在として評価を受けることができます。
代表的な戦略系コンサルティングファーム
代表的な戦略系コンサルティングファームには、以下のような会社があります。
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ボストンコンサルティンググループ
- ベイン・アンド・カンパニー
- A.T.カーニー
- ローランド・ベルガー
- アーサー・D・リトル
- Strategy&
- アクセンチュア・ストラテジー
- コーポレイト・ディレクション
- ドリームインキュベータ
- オリバー・ワイマングループ
- 経営共創基盤
- サイモン・クチャ―アンドパートナーズジャパン
その他、総合コンサルティングファームでも、ストラテジー部門を設置して、戦略コンサルティングを行っていることもあります。
戦略コンサルタントの仕事内容
戦略コンサルタントの主な仕事は、クライアント企業の経営層が抱えるビジネス上の課題を解決することです。
対象となる領域は、マーケティング戦略、新規事業開発、中長期的な戦略立案、M&A、対外進出、人材教育など多岐に渡ります。
基本的には受託した案件に従って、プロジェクトチームを編成し、少人数のチームで仕事を行うのが一般的です。
社外に出向き、クライアントの経営層やステークホルダー、対象領域の専門家などにインタビューをしたり、自分自身で調査を進めたりしながら、問題解決のための仮説を立て、それを実行していきます。
「この通りやればOK」というようなマニュアルがあるわけではないため、常に自分の頭で考えるようにしなければなりません。
また、従前はクライアント企業に提案やアドバイスをするというところまでが、戦略コンサルタントの仕事とされていましたが、近年は、その実効性を確かめるべく、戦略の実行支援まで行うコンサルティングファームが増えています。
戦略コンサルタントのキャリアパス
戦略コンサルティングファームでは、基本的に以下のような職位が設定されています。
- アナリスト
- コンサルタント
- シニアコンサルタント
- マネージャー
- シニアマネージャー
- パートナー
- プリンシパル
実際の呼び方はコンサルティングファームによりけりです。
また、同じ職位であっても細かくランクが設定されていることもあります。
上述の通り、戦略コンサルティングファームは成果主義の傾向が非常に強いため、年功序列ではなく、成果を収めた者から昇進していくという構図です。
そのため、20代にしてマネージャーになるというようなキャリアになることもあります。
ただ、一般的に平均勤続年数が短いのが、戦略コンサルティングファームの特徴です。
そのため、若くして退職し、次のキャリアへと進んでいく人が少なくありません。
ネクストキャリアとしては、他ファームへの転職(ヘッドハンティング)、独立・起業、事業会社への転職など様々です。
関連記事:コンサルタントのキャリアパスとは【優秀な人材が歩む次のステップ】
戦略コンサルタントの採用傾向
戦略コンサルティングファームの採用傾向について、新卒と中途採用それぞれに特化して紹介します。
新卒の採用傾向
戦略コンサルティングファームの新卒採用は、基本的に少数です。
入社後はすぐにプロジェクトにアサインされ、現場で仕事をするということが多いため、選考を通じて、それなりに高いビジネススキルを有している人材に絞られます。
採用の絶対数が多くないため、結果的に難関大学出身者ばかりになるのも1つの傾向です。
ただ、最近は日系のコンサルティングファームを中心として、「手塩にかけて育てよう」という方針の会社も増えているため、よりポテンシャル重視、人物重視の選考を行うファームも増えて来ています。
関連記事:【22年卒必見】コンサルタントの就活の流れ【選考の順番を解説】
中途の採用傾向
戦略コンサルティングファームでは、通年で中途採用の募集を行っています。
新規でのプロジェクトが立ち上がった際に、専門的な知識やスキルを有している人材が必要になるためです。
戦略コンサルティングファームの離職率が高いということも関係しているでしょう。
実際に、どの戦略コンサルティングファームの採用情報を見ても、常に求人があるような状態です。
中途採用では新卒採用と違い、ポテンシャルや人間性よりも、すぐに即戦力として活躍できるかという実力がかなり重視されます。
即戦力を求めているため、公認会計士、税理士、TOEIC900点、他ファームでのコンサルタント経験など、分かりやすいアピール材料があると、かなり選考を有利に進めることができます。
戦略コンサルタントになるために必要な資格・能力
戦略コンサルタントに就職するため、そして仕事を通じて活躍するためには、以下のようなスキルを高いレベルで有していることが求められます。
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- コミットメント力
- プレゼンテーション能力
- ドキュメンテーション能力
- セルフマネジメント力
- 事務処理能力
特に最も大切なのが、論理的思考力です。
コンサルタントの仕事の大部分は「思考」にあるといっても過言ではありません。
クライアント企業の課題を解決していくためには、様々な条件をしっかりと整理した上で、その中から最適解を見つけていける思考力が必要です。
コンサルタントに必要な能力を身に着けるための特効薬はありません。
戦略コンサルタントの面接でよく実施される「フェルミ推定」のトレーニングなどを日々積みながら、自己のビジネススキルを高めていく必要があります。
また、近年のグローバル化の進展に伴い、クライアント企業の海外進出案件なども増加傾向です。
そのため、ビジネスレベルでの英語力を有していることがマストとされる場合もあります。
このほかにも、中小企業診断士や公認会計士、ファイナンシャルプランナー検定1級など、専門性を証明する資格はマストではありませんが、取得をしておいて損はありません。
関連記事:できる戦略系コンサルタントのロジカルシンキングとは【ビジネスに必須の考え方】
関連記事:フェルミ推定対策の本おすすめを厳選して9つを紹介【地頭を鍛える】
戦略コンサルタントの年収
戦略コンサルタントは一般的な給与水準と比較すると、かなり高めの水準です。
外資系の場合には、新卒でも500万円や600万円は当たり前、さらに20代のうちに1000万円を突破するということもあります。
これは、日系企業とは比にならないレベルです。
また昇格するほど、年俸に占める変動給(ボーナス)の割合が大きくなるため、成果を残せばその分だけダイレクトに年収アップに直結するというファームも少なくありません。
しかし、成果主義のため人によっては給与がなかなか上がらない、福利厚生が全く充実していないというような難点もあります。
また、詳しくは後述しますが、長時間労働や休日出勤なども当たり前の世界です。
まとめると、戦略コンサルタントの年収が高いことの主な理由としては、
- 仕事のレベルの高さ
- 世の中に生み出す価値の大きさ
- 労働時間の長さ
- 福利厚生・諸手当の充実度の低さ
が挙げられると言えます。
戦略コンサルタントの労働環境
戦略コンサルタントの労働環境は、基本的には激務です。
給与が高いため「ブラック企業」とは言えませんが、月間の残業時間は50時間程度は当たり前、炎上案件にアサインされたり、プロジェクトの納期が差し迫ったりしている場合には、終電逃してタクシー帰宅、土日出勤も辞さないことも少なくありません。
基本的に、プロジェクトが動いている時には、ワークライフバランスを充実させるのはかなり厳しいと言えるでしょう。
しかし、プロジェクトが終了すると、かなり長期の休みを取得して、旅行に出かけるというコンサルタントも多くいます。
そのため、かなりオンとオフが明確に分けられている、ということが戦略系コンサルティングファームの特徴です。
また最近は、特に日系の戦略系コンサルティングファームにおいて、働き方改革の影響を受け、ワークライフバランスが充実させられるように、会社として制度を整備し始めている動きもあります。
代表的な戦略系コンサルティングファーム出身者
戦略系コンサルティングファームを退職後、自分で起業するというキャリアパスを進む人は少なくありません。
そのため、多くの著名な経営者を戦略系コンサルティングファームは輩出しています。
何人か、ファームごとに著名な戦略系コンサルタント出身者を紹介します。
ファーム | 出身者 |
マッキンゼー・アンド・カンパニー |
|
ボストンコンサルティンググループ |
|
ベイン・アンド・カンパニー |
|
Strategy& |
|
A.T.カーニー |
|
ローランド・ベルガー |
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アーサー・ディー・リトル |
|
コーポレイト・ディレクション |
|
ドリームインキュベータ |
|
まとめ:戦略コンサルタントになるにはどうすればいい?
戦略コンサルタントは、非常に高給で、成長環境が整っているということもあり、かなり人気の高い職業です。
そのため、新卒選考、中途選考共々、選考レースはかなり激戦を極める傾向にあります。
その厳しい選考を勝ち抜き、戦略コンサルタントとして就職するためには、記事中でも紹介したように、かなり高いレベルでのビジネススキルを有しておかなければなりません。
戦略コンサルタントへの就職を実現するためには、日々の仕事や生活を通じて、求められるビジネススキルを高めていく努力をする必要があります。
しかし、自分一人だけの努力では、成長に限度があるのも事実です。
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また、同志や現役コンサルタントとも知り合い、その考え方にも触れることができるため、自ずと自分の視野や考え方の幅も広がるはずです。
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