コンサルタントとして仕事をしていくためには、ビジネスマンとして様々な能力をハイレベルに有していることが求められます。
その中でも、コンサルタントにとって最も重要と言われているのが、ロジカルシンキングです。
ロジカルシンキングができることは、コンサルタントにとっての必須条件とも言えるでしょう。
そこでこの記事では、コンサルタントを目指す方向けに、ロジカルシンキングを鍛えるのに役立つ10の本を紹介していきたいと思います。
コンサルタントのみならず、すべてのビジネスパーソンにとって役立つ内容ですので、是非参考にしてください。
関連記事:できる戦略系コンサルタントのロジカルシンキングとは【ビジネスに必須の考え方】
ロジカルシンキングとは?
そもそもコンサルタントに求められるロジカルシンキングとは、一体どのような考え方を指すのか。
主にロジカルシンキングを構成する4つの要素について解説します。
主張に対する根拠があり、論理的である
ロジカルシンキングという言葉を日本語に訳すと「論理的思考」という意味になります。
つまり、思考の過程が筋道だっており、論理が飛躍していない状態のことです。
ロジカルシンキングでは、「AだからB、BだからC。よって、AだからC」といったように、ピラミッド構造で考えるのが一般的になります。
その思考過程に合理性があり、誰が見ても同じ考え方ができることが、ロジカルシンキングの大切な要素です。
バイアスにとらわれていない
バイアスとは、個人的な感情や心理学的効果などによってもたらされる思考の歪みです。
人間はバイアスにとらわれると、視野狭窄に陥り、主観的に物事を考えるようになってしまいます。
そのため、余計なバイアスは徹底的に排除し、常に客観的に物事を考える姿勢が大切です。
MECEである
ロジカルシンキングの基本はMECEであること、つまり漏れがなく、かつダブりがないことです。
特に思考の漏れがある場合には、それが致命的な欠陥となる可能性があります。
また、ダブりがある場合には、思考に無駄なプロセスが生まれてしまいます。
そのため、3C分析や4P分析、SWOT分析など、様々なフレームワークを用いることで、無駄な思考を排除していくことが大切です。
本質的である
ロジカルシンキングの目的は、問題を解決することです。
その問題の着眼点がズレていれば、問題解決に繋げることはできません。
本質的な着眼点を見つけることは、ロジカルシンキングの第1のステップとなります。
よって、その後のロジカルシンキングをスムーズに進めるためには、問題の本質をしっかりと捉えることが非常に重要です。
ロジカルシンキングを鍛えるおすすめ本10選
ロジカルシンキングを鍛えようと思っても、なかなか簡単には身に着けることができません。
そこでおすすめなのが、読書です。
世の中には、ロジカルシンキングを鍛えるための本が多数出版され、特にビジネスマンから大きな人気を博しています。
その中でも特におすすめの本として10種類の本を紹介いたします。
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
アマゾンより
『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』は、元マッキンゼーコンサルタントの渡辺健介さんが執筆した本です。
中高生でも分かりやすいように、ということをモットーにしているため、より身近で具体的な例を用いながら、およそ100ページにわたって、ロジカルシンキングや問題解決能力について、解説されています。
他の書籍と比べると薄い本ですが、ロジカルシンキングに関する最低限の知識をしっかりとマスターすることができます。
あとは、本から得た知識やロジカルシンキングの方法を実践で使い、習得していくのみです。
ロジカルシンキングの「キホンのキ」を学べる書籍ですので、以下のような人に特におすすめになります。
- ロジカルシンキングとは何かを知りたい
- ロジカルシンキングの基本を知りたい
何事もまずは基本から身に着けることが大切です。
足し算引き算も分からない人が、難しい方程式を理解することはできません。
どの本を読もうか迷ったら、『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』を選ぶのがおすすめです。
入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法
アマゾンより
『入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法』は隗コンサルティングオフィス株式会社の代表を務める山崎康司さんが執筆した本です。
入門的な内容が書かれているため、「これからロジカルシンキングを学びたい」「分かりやすい文章を書きたい」という初心者にとっては特に必読の書と言えるでしょう。
単にロジカルシンキングについての知識や考え方について書かれているだけではなく、実例も多く記されているため、読みやすさは抜群です。
また、ロジカルシンキングの日常的なトレーニング方法も書かれているため、本を読んでインプットをしつつ、同時並行的にアウトプットも行うことで、質の高い学びを得ることができます。
さらに、文章を書く際の基本として紹介されている様々な方法論は、文章を書くシーン以外の様々なビジネスシーンにも応用可能です。
ロジカルシンキング
アマゾンより
本書は、2001年に照屋華子さんと岡田恵子さんの共著により執筆された書籍です。
ビジネスシーンにおいて、論理的に自分自身の意思を伝える重要性が、具体的な事例とともに解説されています。
ロジカルシンキングをテーマとすると、つい冗長な表現で分かりづらくなりがちですが、本書は簡潔に整理されているため、分かりやすさも抜群です。
ただ、簡潔だからこそ「実践する」ということが重要であると思わされます。
本書で掲載されている練習問題でトレーニングするのみならず、一通り読了したら即実践、そして分からないことがあれば、再度読み直すという形で、インプットとアウトプットを両立することで、ビジネスマンとして必要なロジカルシンキングの能力を高めていくことができるでしょう。
「ロジカルシンキングとは何か」「これからロジカルシンキングを鍛えていきたい」と考えている若手や初学者向けの一冊です。
一番役立つ! ロジカルシンキング
アマゾンより
ビジネスの現場では、単に正しいことを述べるだけではなく、相手に気持ちよく納得してもらわなければ、望んだとおりの結果を得ることはできません。
その気持ちよい納得を引き出すためには、内容が整理されていること、主張が分かりやすいことが不可欠です。
本書においては、「複雑な事象はとにかく分解する」「議論に勝つことを目指さない」「理路整然と話すほど理解されにくい」など、相手に意見を通しやすくするための方法論が46種類にもわたって解説されています。
その方法論を支えるにあたって、特に有効なフレームワークも紹介されており、コンサルタントにとっては仕事に役に立つこと間違いなしです。
論理だけではなく、感情がビジネスシーンの印象形成や意思決定についても大きな影響を与えることが前提とされているため、より実践的な内容になっています。
思考論理分析
アマゾンより
本書では、論理的思考力という抽象的な表現を「思考」「論理」「分析」の3つに分類して、3部構成により詳しく解説されています。
一口に「論理的思考が苦手だ」と言っても、そのプロセスのどこに躓いているのかは、人それぞれ。
本書を読めば、より細かく各ステップについて解説されているので、全体を読む余裕がなく、一部分だけしか読めないという人にもおすすめです。
また、文章自体はかなりお堅い表現となっていますが、冗長なものではなく、非常にシンプルに書かれており、無駄な文章は一文たりともありません。
そのため、ある程度読書経験があるビジネスパーソンであれば、それほど読むのを苦痛に感じることはないでしょう。
考える技術書く技術
アマゾンより
『考える技術 書く技術』は、1973年に初版が発行され、その後も重版を重ねたのち、1999年に日本語訳がなされた世界的にも有名な書籍です。
初版から40年以上経っても、読まれ続けているという事実が、本書の価値そのものと言えるでしょう。
中身は以下の4部構成になっています。
- 書く技術
- 考える技術
- 問題解決の技術
- 表現の技術
本書を通じて得られるのは、常にピラミッド構造で物事を考えるという姿勢です。
ピラミッド構造による思考は、論理の飛躍が起きづらく、また必要な要素も確実に抽出することができるため、ロジカルシンキングの手法の根本をなすものです。
「よりよい文章」「相手に伝わりやすい文章」を書くことを目標としている書籍ですが、コンサルタントに必要なドキュメンテーション能力やプレゼンテーション能力にも応用できることでしょう。
翻訳版ということもあって、かなり難しい文章ではありますが、ハイレベルなビジネスパーソンになるために必要なエッセンスですので、初学者から経験豊富なベテランまで、幅広い層におすすめです。
case in point
アマゾンより
『Case in Point』は、『戦略コンサルティングファームの面接試験―難関突破のための対策と傾向』という書籍の英語版原著です。
ズバリ、これから難関コンサルティングファームの面接に挑むという人にとって有用な対策本ですが、現役コンサルタントにとっても役に立つ内容がふんだんに盛り込まれています。
特に、実際のビジネスシーンでも大いに役立つのがアイビーケースシステムという、筆者が独自で考案したフレームワークです。
例えば、「新商品の開発」であれば、
- 商品
- 販売戦略
- 顧客
- 資金調達の方法
の4点を検討課題とすべきといったように、具体的な12のシナリオを用いて、フレームワークが紹介されています。
非常に具体的であるため、実際のビジネスシーンでダイレクトに活用できることも少なくありません。
そのため、コンサルタント志望者だけではなく、現役コンサルタントも手に取って読んでおきたい一冊です。
イシューから始めよ
アマゾンより
『イシューから始めよ』はマッキンゼー出身の脳科学者である安宅和人さんが執筆した書籍で、初版から10年以上経った現在も、高い支持を受け続けています。
この本では、問題を解く前の本当のイシューを見極めることが何よりも重要であると主張されています。
その問題の本質を間違って見極めると、最短距離での問題解決を実現できません。
逆に、本質的な問題設定をして、それに対して適切な解決方法を実行できれば、劇的に生鮮性を高めることができます。
コンサルタントはもちろん、日々創造的な仕事をする立場にいる方々は、絶対に読むべき一冊です。
ビジネス系YouTuberとして大きな人気を博しているマコなり社長も「『イシューから始めよ』を読んでいないビジネスマンはヤバイ」と警鐘を鳴らしています。
仮説思考
アマゾンより
仮説思考という考え方は、できるビジネスパーソンであれば誰もが実践している、最強の仕事術の1つです。
コンサルタントの使命は、迅速かつ正確に課題を解決に導くこと。
仮説思考は、そのコンサルタントとしての使命を遂行するのに大いに役立ちます。
普段、以下のような考え方で仕事に取り組んでいる人は、本書を読むことで、劇的に仕事の生産性が高まることでしょう。
- 問題の全体像を描くよりも、問題に関連した情報収集を優先している
- とにかく完璧な答えを出すことにこだわっている
- 物事を改善する際に局所的な改善ばかりを意識している
特に、「一生懸命仕事をしているのになかなか成果が出ない」「なぜあの人はあんなにも容量が良いのだろう」と疑問に思う部分がある人は、是非読んでみるのがおすすめです。
仮説思考という考え方を身につけるだけで、劇的に思考のスピードや正確性が上がり、ひいては仕事のパフォーマンス向上にも直結します。
論点思考
アマゾンより
『論点思考』は、上記で紹介した『仮説思考』の姉妹版となる書籍です。
企業やビジネスの現場においては、多くの課題が山積しており、そのすべてを解決することは不可能です。
仮に、すべての問題に対してアプローチをしようとすると、解決し終えたころには、また新たな問題が表面化していることでしょう
そこで、最も効率的な問題解決方法として紹介されているのが「論点思考」です。
論点思考により、問題の本質を迫り、その本質に大きなリソースを投下することで、劇的な問題の解決に導いていくことができます。
大切な考え方は、本書の冒頭に示されている「経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」という言葉です。
「いつも間違った課題設定をしてしまうために、思うような成果を出せない」と悩んでいる方は、『仮説思考』と併せて本書も手に取ってみることをおすすめします。
ロジカルシンキングは本を読んで鍛える
この記事では、ロジカルシンキングを鍛えるために使える書籍を10冊紹介しました。
ロジカルシンキングは、コンサルタントはもちろん、すべてのビジネスパーソンが持ち合わせておくべきスキルです。
もちろん、日常的な仕事を通じて育んでいくことができますが、アウトプット偏重で鍛えていくと、正しい型ではなく、自分なりに使いやすい型しか身に着けることができません。
よって、まずはロジカルシンキングに関する本を読んで、正しい思考の型を身に着けることを心がけましょう。
正しい型を守りながら、自分なりのエッセンスを付け加えることで、数段階もビジネスパーソンとしての価値を高められるはずです。
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