コンサルタントとして内定を獲得するためには不可欠なジョブ選考。
戦略コンサルティングファームや、外資系コンサルティングファームの新卒採用にてよく実施される形式の面接で、コンサルに限らず、外資/国内の金融機関、ベンチャーなどの新興企業でも導入されています。
難関のケース面接を突破したはいいものの、内定を取ることができなかったという話を聞いたことはありませんか?
今回は、せっかくジョブ面接まで進んだ人のために、必ずそのチャンスを手に入れるためのポイントを紹介します。
目次
ジョブ面接とは
ジョブ面接とは、実際のプロジェクトを体験するグループワーク形式メインの選考方法となります。
具体的には、ある業界の企業をクライアントを設定し、その企業が抱える業務上の課題について、課題を分析し、情報を集め、仮説を立て、成長のための経営戦略を考案して最終日にプレゼンするということを、数日間(2日~5日程)かけて実施します。
ファームによって形式は異なりますが、特に個人で実施するか、団体で実施するかによって進め方も変わってくるので注意が必要です。
ジョブ面接の日程
ジョブ面接の日程の一般的な日程について解説していきます。
1日目:ジョブ改題を渡されワークスタート
1日目は、自己紹介、会社説明、パートナー等の上位クラスの役職者からの講演、そしてジョブのテーマの発表という流れでスタートします。
お題となる企業は、学生はもちろん、誰もが知っている有名なBtoC企業が選定されることが多いです。
たとえばコカ・コーラやマクドナルド、ウォルトディズニー、ソニー、資生堂、サッポロビールです。
基礎資料となる財務データやマーケティングデータなどは事前に与えられ、そして社内で実際にされる分析ライブラリーも自由に使えるので、事前の知識量では差がつかないように配慮されています。
「ある企業の売り上げを5年で100億円増やす」
「総合リゾート施設の設立コンセプトを立案せよ」
「テクノロジーの発展を踏まえて、教育業界の次の打ち手を考えよ」
「シネマコンプレックスの利益率向上を上げるには」
「地方銀行での新規事業を立案せよ」
「シューズメーカーの海外戦略を立案せよ」
といったようにケース面接でも問われるようなお題が出されることが多いです。
どのお題も、資料から課題を紐解き、具体的な戦略を立案していく必要があります。
もちろん説得材料には数値データは欠かせませんので留意が必要です。
扱われるテーマは年によって変わってきますが、余裕があれば、基本的な業界構造やビジネスモデル、利益構造などを読み込んでおくことをおすすめします。
グループワーク
グループワークは、2~5人ごとの班に分かれ、それぞれに割り当てられた課題に対して取り組んでいきます。
グループワークのメンバーは、これから数日間を共にする仲間です。
選考という点ではライバルですが、お互いの特性をしっかりと理解した上で進めていくことがポイントになります。
特にコンサルティングファームの志望者は、意識が高く優秀な学生が多いです。
また、ケース面接を突破してきたということもあり、ジョブに集まる学生は本当に優秀な学生が多く、その後の就職活動を進める上でも大事な仲間となります。
コンサルタントの仕事とは、「限られた時間内で最大のアウトプットを出す」ということです。
高い報酬をクライアントからいただいているということからもその期待は計り知れないものとなります。
グループワークも日数が限られており、短い期間で最高のアウトプットを出すためには「タイムマネジメント」のスキルが必要です。
実務を経験したことがない学生にとっては、このタイムマネジメントの感覚が難しく、ときに時間内に提案が出し切れなかったというケースもあります。
そうならないためにも、最低限いつまでになにをすべきかを明確に取り決めましょう。
間に合わないタスクがあった場合には、メンバー内で役割を決め、分担作業をすることも効
率よく進めるためのポイントです。
2〜3日目:ワークの合間に社員とディスカッション、人事、パートナーと面談
ファームによってはジョブに関わらない一般社員と接触する機会が与えられます。
これは、多くの社員が学生を評価しているとも考えられます。
グループワークで忙しくても、アドバイスを求めたり、自分の考えをしっかり述べるなど、積極的にコミュニケーションを取り、社員に顔を覚えられるようにしましょう。
「働き方改革」という観点から、人事部主催で、コンサルティングファームでの働き方をテーマにした社員とのワークセッションを開催することも多くなってきています。
「コンサルって激務なの?」「年収はどれくらいもらえる?」「本当の離職率は?」といったように、通常の面接ではなかなか質問しにくいことなども答えてくれます。
将来自分がここで働くということをイメージしながら臨みましょう。
4日目:ワークの結果をパートナー・採用チームでプレゼン
最終日には、グループワークの結果を発表します。
参加者は、プリンシパルや、ディレクター、パートーナーなど、シニアクラスの社員がクライアント役になり、質疑応答には厳しい質問が飛び交います。
発表は1チーム15分から30分。
短い時間ですが、これらの質問に対してグループを代表して発言することは十分なアピール材料となります。
最終発表終了後には、任意参加の懇親会があります。
懇親会では、グループワークで参加した社員が参加しますので、この場も選考の一環だということを頭に入れ、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
ジョブ面接で見ているポイント
時頭の良さと振る舞い
ケース面接と同じく、地頭の良さとコミュニケーション力を見られています。
単発のケース面接と比べると、ジョブ面接は複数日に渡り、さまざまな能力が精査されます。
これは、運や勢い、ノリで誤魔化すことはできません。
与えられた情報を元に論理的に思考できるか
コンサルタントとして働くことは、思いつきではなく、与えられた事実・情報を元に、自らで仮説を組み立て、いかにクライアントが納得する筋道を作ることです。
この前提能力がしっかりと備わっているかということをジョブ面接では見られています。
議論を進化させることができるか
ケース面接とは異なり、社員との議論が毎日あるということです。
これは言い換えれば、さまざまな社員の視点から多種多様な意見が出てくるということです。
コンサルタントの仕事に、正解、不正解はありません。
しかし、立てた仮説に対して、ブレない論理の筋が通っているかどうかは、複数の意見を元に検証していくことで、より説得力のある提案となっていくことでしょう。
自分の考えを伝えることができるか
ジョブ面接ではその多くがグループ戦となります。
複数のメンバーとの意思統一を図るためにも、コミュニケーション力は欠かせません。
また、自分が考えたことをしっかりと相手に伝えられないことには意味がありません。
初めての相手にも、分かり易く噛み砕いて説明ができるか。
もともと用意されているデータのインプットに加え、お互いの考えを述べ合うアウトプットの中で議論を研ぎ澄ませていきましょう。
チームメンバーと協調性とオーナーシップがあるか
ケース面接という難関を突破してきたメンバーは非常に優秀ですが、優秀であるがゆえ、そのメンバーと協調関係を保つことは大切です。
これは、その優秀なメンバ―を説得させされるほどの情報、論拠が出揃えば面接突破の道がぐっと近くなるということを意味します。
ジョブの時間内だけでなく、それ以外の時間でもメンバーとは密にコミュニケーションを取ることがポイントです。
ジョブ面接で落ちてしまう人の特徴
序盤と終盤のパフォーマンスが違う
ケース面接は、約60分ほどですが、ジョブ面接は数日かけてみっちりと議論を重ねていきます。
そのため、ジョブ期間内の長時間に渡り、ひたすら思考を続けるということが求められます。
頭が疲れてしまって思考停止状態になるようでは、厳しいコンサルタントの世界で生き抜くことは難しいでしょう。
特に、ジョブ面接では冒頭の情報収集の段階で頭がついていけずに脱落してしまうケースというのも多くみられます。
思考体力がない
思考体力がないということは、長時間に渡り考え抜くことが難しいということです。
序盤では好調だったが、終盤になるにつれて発言の質・量ともに落ちてくるというのは誰がみてもすぐに分かってしまうものです。
少しでも社員にそう思われてしまうと選考を通過することは難しくなるでしょう。
EQ力がない
「IQ(知能指数)」は有名ですが、「EQ」は心の知能を測る指標です。
自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロール力のことを指します。
「EQ力がない」ということは、初めは良い感じの人だったのに、議論が進み終盤になるにつれて感情がむき出しになってくることです。
このEQ力は短時間で見極めることは難しく、まさにジョブのような選考方法で見極められる部分となります。
EQ力は、他者に協力的か、建設的なコミュニケーションがとれるか、コーチング力があるか、というようにコンサルに不可欠な要素でもあります。
ジョブでは、このEQ力が安定的に発揮されているかということが重要視されています。
カルチャーフィットしていない
ファームとの相性があるかということです。
こればかりは相性の問題なので、対策でどうこうという話ではないと思います。
社員の方から一緒に働きたいと思ってもらえない以上、入社することは難しいです。
無理にファームに合わせたとしても、入社後に苦労をすることも考えられます。
カルチャーフィットしていないということであれば、他の企業を目指すなど方向転換することも重要です。
ジョブ面接に受かるためのポイント
ケース面接以外にも思考し続ける体力をつける
ジョブ面接では、日々思考を続けるということが大事です。
2日間~5日間の長い間、最高レベルの課題に対して常に思考をし続けることが必要となりますが、そもそも日常生活で思考をしない人にとってはこれはかなりハードなことです。
思考体力をつけるということは、一朝一夕で身につく技術ではありませんが、日常生活の中でも、常に「Why?」を意識しながら思考を続けることで鍛えることができることでもあります。
情報収集に溺れない
情報はインターネット、文献、マーケットデータ、IRデータと無限に取得することができます。
しかし、情報を得ることだけにパワーをかけてしまって、何も生み出せないとうことはよくある話です。
業界や市場の動向、特性など、勝ち組企業と負け組企業の傾向などのポイントさえざっくりと把握できていればそれで十分です。
何かアイデアを出したいと思ったら、「まず考えること」が重要になります。
考え、必要な情報が何かを精査したあとに、必要最小限のパワーで情報収集をすることがポイントです。
面接官との議論の前には自分の考えと議論のポイントを明確にする
多数の情報におぼれて論点がブレてしまわないように、必要な情報を自分なりに整理・構築した上で、プレゼンの内容について、面接官との議論用にポイントをまとめることが重要です。
足でファクトを稼ぐ
お題となる企業は、BtoCの企業であることが多く、実際に店舗に出向いて情報収集、ヒアリングするということも可能です。
実務でも、このように、データだけでなく、実際に企業にヒアリングをしに行くなど、泥臭く地上戦で攻めるケースも多々あります。
机上の空論よりも、現場からの声があることで説得力が増しますし、コンサルタントとしての適性・素養があるというようにも見られることがあります。
ジョブ面接では、これらの取り組みが評価される場合もあるそうです。
まとめ:ジョブ面接は今までの頑張りの集大成を見せる場所
コンサルティングファームのジョブ面接に参加できるという時点で、優秀な学生であるということは間違いありません。
そのため、ジョブ面接で落選したとしてもそこまで悲観することはありません。
短期的な視点ではなく、ファームで勤務する上で、長期的な体力があるかどうかを測られているのもこのジョブ面接の特徴です。
ケース面接を通過したとうことは、ジョブ面接にも受かるための素養は十分にありますので、自信をもって選考に臨みましょう。
コメント