コンサルティング会社の就職面接で、必ずと言っていいほど行われるのがケーススタディです。
このケーススタディで十分な評価を得ることができなければ、就職を勝ち取るのは難しいとも言われています。
では、具体的にケーススタディとはどのようなものなのか、またどんな点が評価されるのか、といったことについて、この記事で詳しく解説をしていきます。
目次
コンサルタントのケーススタディとは?
コンサルティング会社への就職面接において行われるケーススタディは、
ということを問われるものです。
つまり、コンサルタントとして求められる論理的な思考力や多角的な視野、深い考察力などが問われるということになります。
新卒、中途採用を問わず、ケーススタディは必ず行われると言っても過言ではありません。
そのため、コンサルタントを志望する人は必ずケーススタディの対策をしておく必要があります。
ケーススタディの評価ポイント
ケーススタディは、コンサルタントとしての力量を図るために有効な質問です。
では、具体的にどのような点が評価されているのか、詳しく解説します。
論理的思考力
ケーススタディにおいて最も注視されているのは、論理的思考力でしょう。
論理性のある回答ができているか、論理は飛躍していないか、といった部分が重要です。
論理的思考力は、コンサルタントに求められる最も基礎的な能力と言えます。
他の能力については、入社後に成長させることもできますが、論理的思考力ができない人材の場合、そもそもコンサルティング会社に就職することすらできません。
いわばコンサルタントとして仕事をするための免許のようなものです。
ケース面接の回答に対して、面接官からズバズバと質問も飛んできます。
その質問への回答も含めて、一貫した論理性を見せ続けなければなりません。
関連記事:できる戦略系コンサルタントのロジカルシンキングとは【ビジネスに必須の考え方】
分析力
ケーススタディは、フェルミ推定とも組み合わせて行われるのが一般的です。
そのため、フェルミ推定においてどれだけ的確な分析ができているかということも評価されます。
コンサルタントの仕事においては、正しい分析ができなければ、プロジェクトで成果を収めることはできません。
面接に際しては、十分に思考するための時間が与えられるとは限らないので、日ごろから鍛錬をして、スピーディーかつ正確な分析ができるようにしておく必要があります。
熱意
ケーススタディでは、「本当に課題を解決しようとしているかという熱意」も重要です。
コンサルタントは人間を相手にするビジネスですので、人間性も大きな評価ポイントになります。
実際に、解決策の内容自体は優秀だったものの、熱意が感じられなかったから不採用としたという事例もあるようです。
もちろん、熱意だけでどうにかなるほど甘い世界ではありませんが、クライアントの視線に立てば、熱意に欠けるコンサルタントよりは、熱意のあるコンサルタントにお願いしたいというのは当然でしょう。
面接のケーススタディで熱意を見せられなければ、実際にクライアントの前でも熱意を見せられない人間という判断を受けてしまいます。
スピード感
コンサルタントを志望するような優秀な人材であれば、ある程度時間が与えられれば、優れたアイディアを提案することができます。
しかし、面接の際にはいつまでも時間があるわけではありません。面接官に指定された時間内に、優れたアイディアを提案する必要があります。
限られた時間内でもスピーディーに思考ができなければ、高い評価を得るのは難しいでしょう。
スピーディーに優れた提案をするためには、日々の訓練が欠かせません。
日ごろから短い時間で思考する習慣をつけていきましょう。
スピード感のアピールは、非常に忙しいコンサルタントという仕事であっても、一定のパフォーマンスを発揮できる人材としての評価にも繋がっていきます。
ユニークさ
ケーススタディでは、提案する解決策の論理性も重要ですが、ユニークさも重要です。
回答にユニークさがない場合、面接で「その他大勢」としてひと括りにされて、目立つことができないという難点があります。
競争倍率が高いコンサルティング会社の選考において、面接官の心に残る存在にならなければ、内定を勝ち取ることはできません。
コンサルティング会社は、誰にでも思いつくような提案は求めていないのです。
本当に求めているのは、これまで誰も取り組んだことがないような面白いアイディアです。
企業が採用活動を行うということは、会社に新たな刺激をもたらす人材を求めているということです。
ユニークな回答をするには少し勇気も必要ですが、そこで自信を持って話すことができれば、他の能力についても高評価を受けられる可能性があります。
もちろん、絵に描いた餅ではダメで、現実味のあるアイディアでなければなりませんが、ケーススタディでは「面白い回答」ができるように意識してみてください。
コミュニケーション能力
ケーススタディはグループワークの形式で実施されることもあります。
その際に最も重視されるのが、コミュニケーション能力です。
即興で集まったメンバーの中で、その話し合いが良い方向に進むために、どれだけ貢献できているかということが評価されます。
コンサルタントの仕事は、かなり個人主義の風潮が強くありますが、それでもプロジェクトチームのメンバーやクライアント企業の担当者とのコミュニケーションなしには成立しません。
そのため、グループワークの場合には、コミュニケーション能力の高さをアピールすることも重要です。
グループワークでは、必ずしも進行役になってリーダー的役割を果たす必要はありません。
まずは自分に与えられた役割をきちんと全うすることで、組織に貢献できる人材であることを示しましょう。
コンサルタント面接のケーススタディ対策【意識すべきポイント】
ケーススタディにおいて高評価を得るためには、いくつか抑えておくべきポイントがありますので、確認していきましょう。
正確な数値・データは必要ない
ケーススタディでは、必ずしも正確な数値やデータを用いる必要がありません。
前段階のフェルミ推定も含めて、
という論理性が評価の対象となるためです。
正確な情報については、きちんと調べない限り、算出することはできません。
あくまでも用いる数値やデータは概算で構わないのです。
細部にこだわりすぎると、大幅なロスが生じてしまいますので、注意してください。
ただ、一般常識的なデータについては、最低限正確さを求めていきましょう。
例えば、「日本の人口は10億人」というような前提で話を進めてしまえば、どれだけその提案が優れていたとしても、高評価には繋がりません。
論理を飛躍させない
コンサルタントとしては、できるだけ簡潔に、分かりやすく話をすることが大切です。
しかし、そのことを意識しすぎると、論理が飛躍した説明になりかねません。
例えば、「花粉症を改善したいなら太陽光を浴びよう」という表現があるとします。
これは、事実としては正しいのですが、論理が飛躍してしまっています。
きちんと論理立てて説明する場合には、以下のようになります。
このように、しっかりと論理立てて説明をすれば、聞き手もストレスを感じることがありません。
簡潔さ、分かりやすさを意識することも重要ですが、あくまでも論理が飛躍しない範囲内での簡潔さを追求するようにしましょう。
考えに窮する時は面接官の力も借りる
ケーススタディを通じては、どうしても自分の考えだけでは限界を感じることもあるかもしれません。
その際に、適当なことを絞り出して取り繕うというのは逆効果です。
面接官はこれまで何人もの求職者の面接を担当してきたわけですから、「今、適当に考えて話しているな」ということはすぐに伝わってしまいます。
どれだけ考えてもアイディアが思い浮かばない場合には、面接官の意見を聞くというのも1つの手です。
その意見をもとにして、よりよいアイディアへと発展させた方が、確実に評価も高まります。
実際の仕事の場面でも、同僚や上司の力を借りる場面は少なくありません。
自分が困っているのにそれを隠したまま、自分だけでどうにかしようとしていると、ギリギリになって周囲の力を借りざるを得なくなったということもよくあります。
人に頼りすぎるのはよくありませんが、すべてを自分だけで解決しようとするのもまたよくありません。
面接中は、常に「どうすれば話し合いは進展するか」「最も合理的な解決方法は何か」ということを考え、最適な判断ができるようにしましょう。
面接官も喜んで力を貸してくれるはずです。
考えることを楽しむ
面接というプレッシャー下にあると、どうしても焦りが出てしまいます。
しかし、そういう時こそ楽しむ姿勢が重要です。
「好きこそものの上手なれ」と言います。
これは、好きなことは自然と上達していくという意味です。
ケーススタディにおいても、楽しんで考える姿勢を見せれば、面接官から「この人は考えることが好きなんだろう」という評価を得ることができます。
そしてそれは「よりハイレベルの思考力を身に着けられるようになるだろう」という期待にも繋がっていくのです。
採用の場は、「どれだけ成長可能性があるか」ということも、大きな評価ポイントの1つです。
1つポジティブな印象を与えることができれば、その他の印象も高めることができます。
楽しむか否かは気の持ちようで大きく変わります。
是非、ケーススタディには「楽しんでやる」という気持ちを持って臨んでください。
コンサルタントのケーススタディ勉強方法
ケーススタディは何の対策もせずに臨めば、ほぼ100%撃沈します。
何の武器も持たずに戦場へ出向くようなものです。
しかし、以下で紹介するような勉強をしていれば、ケーススタディも恐れる必要はありません。
例題を実際に解いてみる
最も効果的な対策は、例題を解いてみることです。
コンサルティング会社のケーススタディについては、様々な書籍が出版されています。
- いたいコンサル すごいコンサル‐究極の参謀を見抜く「10の質問」
- コンサル100年史
- 外資系コンサルの面接試験問題~過去問で鍛える地頭力
- 外資系企業がほしがる脳ミソ
- 外資系コンサルの真実~マッキンゼーとボスコン
- コンサルは会社の害毒である
- 戦略コンサルティング・ファームの面接試験
- 人生の期待値はナンパで変わる
- コンサルティング業界大研究
- ~東大生が書いた~問題を解く力を鍛えるケース問題ノート
最初は意味が分からなくても問題ありません。
「ケーススタディがどんなものなのか」というイメージを持つことが大切です。
日常的に考える習慣をつける
この記事でも説明したように、ケーススタディで問われる最も大きな能力は思考力です。
その思考力は、日常的に様々なことを考える習慣があって磨かれていくものです。
特に、コンサルタントに求められる論理的思考力を高めるためには、日常のあらゆる事象について「なぜ?」という疑問を抱き、追求することで磨かれます。
ビジネス的な問題に限らず、日常的な小さいことからも、常に考える姿勢を養っていきましょう。
他人と一緒に考え、話し合う
コンサルタント志望者がいれば、ケーススタディについて一緒に考えるのも効果的です。
自分にはなかった新たなアイディアに触れることで、さらに自分自身の考えを深めることができます。
自分一人だけで努力をしていると、どうしても視野が狭くなりがちです。
狭い視野からは優れたアイディアはなかなか浮かんできません。
実際のケーススタディ面接の出題例
これまで様々なコンサルティング会社で出題されてきたケーススタディの例題について、紹介します。
- 日本の家電の市場規模を今後5年間で2倍にするための施策
- 開発したアプリを1か月以内に100万人に利用してもらうための施策
- 〇〇県の観光客を増やすための施策
当然、1つの明確な正解はありません。
同じ問題であっても、複数の視点からアプローチすることで、様々な回答を導くこともできます。
1つの課題について多様な切り口から考えることは、多角的な視野を持つためには非常に有効です。
是非、実践してみてください。
コンサルタントの面接に向けてケーススタディの対策をしよう
この記事では、コンサルティング会社への就職の大きな関門とも言うべき、ケーススタディについて詳しく解説をしました。
ケーススタディでは、コンサルタントにとって最も重要な論理的思考力を評価されます。
きちんと対策をしていなければ、当然良い評価を得ることはできません。
そこで、コンサルタント志望者にはケーススタディの練習のために、セミナーを受講することをおすすめします。
セミナーにおいて実際のケーススタディに挑戦したり、フィードバックを受けたりすることによって、ぐっとコンサルティング会社への内定を手繰り寄せることができます。
コンサルタント志望者は、是非検討してみてください。
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