コンサルティングファームのケース面接では、カフェを題材にしたテーマが扱われることがよくあります。
具体的には「カフェの売上を倍にするためには」といったような内容です。
対象範囲はカフェ市場全体だったり、個別のカフェ店だったり、カフェのチェーンだったりと様々あります。
カフェを題材にしたテーマに慣れておけば、それは他のテーマについて思考する際にも応用できることでしょう。
この記事ではカフェを題材にした出題例を元に、考える際のアプローチを紹介しています。
ケース面接に臨む方は、是非参考にしてください。
目次
ケース面接でカフェを題材にした出題例【難易度別】
例えば「カフェの売上を倍にする方法」を考えるとします。
同じ出題内容であっても、出題形式はコンサルティングファームにより様々です。
概ね、以下の3通りの方法があります。
【難易度低】いくつかの選択肢から最適解を問う問題
最も難易度が低いのが、いくつかの選択肢が予め提示されており、その中からどれが最適であるかを答える形式です。
といったようなものです。
特に正解はありませんので、自分が合理的であると考える方を選択して回答しましょう。
ケース面接に苦手意識を感じている方は、まずはこの問いから練習してみるのがおすすめです。
【難易度中】具体的な数字で達成目標が示される問題
続いて多く出題されるのが、具体的な達成目標が数値で示される問題です。
といったような問題が挙げられます。
指定された達成目標に沿うよう、具体的な施策を考える必要があります。
「なんとなく2倍にできそう」というようなフワッとした回答ではなく、その施策を講じることによって何にプラスの影響が出て、現状がどうなって売上が2倍になるというところまで、詳しく説明することが必要です。
難易度は「中」としていますが、外資系を中心とした超難関ファームでもよく出題されるのが、この形式となります。
【難易度高】オープンクエスチョン
最後がオープンクエスチョンです。
オープンクエスチョンとは、かなり曖昧な言葉で定義される問題を指し、具体的には
といったような内容です。
前提条件も含めて自分で定義しながら思考していかなければならないということで、かなり難しいのは言うまでもありません。
カフェ市場全体の売上を考える際のアプローチ
「カフェ市場全体の売上はいくらか?」
上記のテーマが出題された際の回答のアプローチを解説していきます。
また、このテーマについての思考法は、後述するテーマにも応用できる考え方です。
ケース面接のキホンのキだと捉え、しっかりと抑えておきましょう。
STEP①需要と供給の視点から構成要素を分解する
市場全体の売上とは、市場規模と同義です。
その市場規模を需要と供給の面からそれぞれ構成要素を分解して考えてみましょう。
まずは需要面からです。
需要面からカフェ市場の市場規模を考えると、以下のように要素分解することができます。
カフェ市場の売上=単価×来客数
カフェの単価は400円くらいのはずです。
そこに来客数を掛けることで、全体の市場規模を推測することができます。
なお来客数は、さらに「日本人口×カフェの利用割合×利用頻度」といった要素に分解すれば、さらに思考は楽になるでしょう。
続いて供給面から考えてみます。
供給面からカフェ市場の市場規模を考えると、以下のように要素分解することができます。
カフェ市場の売上=店舗数×1店舗当たりの売上
ここで、需要サイドと供給サイドの両面から、カフェの市場規模について観察することができました。
STEP②どちら視点からのアプローチが適切か思考する
上記で考えた2つのアプローチから、どちらの方がより思考しやすいかを考えます。
判断する要素はズバリ、具体的にイメージしやすいか、また完結にイメージできるかという点です。
結論から言えば、需要面からのアプローチの方が効果的です。
というのも、供給サイドから考えた場合、「店舗数」を特定するのが非常に難しいためです。
もちろん、正確な店舗数が分かっているのであれば計算はスムーズですが、そうではない場合、店舗数をさらに要素分解する必要があります。
しかし、実際に分解してみようとすると、ほとんど手立てがないことに気づくはずです。
そのため、店舗数の目測を見誤ると、推定した市場規模が実際の市場規模と大きく乖離してしまう可能性も出てきます。
一方で需要サイドからのアプローチは特に問題はありません。
カフェの利用割合や利用頻度は、自分自身の実生活での体験などを元にして、ある程度高い正確性で思考できるでしょう。
ケース面接においては、複数の視点から要素を分解するということが非常に大切です。
今回で言えば、供給サイドからの視点しかなかった場合、ある意味パワープレーで議論を進めなければならなくなります。
必ず複数の視点から分析するということを心がけましょう。
この習慣は、実際のビジネスの現場でも大いに役立てることができるはずです。
STEP③実際の数値を当てはめて計算する
構成要素への分解ができたら、後は具体的に数値を当てはめていくだけです。
もう一度計算式を確認しましょう。
カフェ市場の売上=単価×利用客数(日本人口×カフェの利用割合×利用頻度)
以下、簡単に数値を当てはめてみます。
- 単価:400円
- 日本人口:2億人
- 利用割合:30%
- 利用頻度:50回
上記を計算すると、およそ7200億円となりました。
利用割合や頻度については、単純に当てはめるのではなく、その数値を設定した具体的理由も説明する必要があります。
個別のカフェ店の売上を考える際のアプローチ
続いて、「スターバックス〇〇店の売上」というように、個別のカフェ店の売上を考える際のアプローチについて解説します。
STEP①前提条件を整理する
全体の市場規模ではなく、個別のカフェ店といったようにミクロなレベルで考える際には、しっかりと前提条件を整理する必要があります。
最低限確認すべき事項は、店舗の立地です。
店舗の立地により商圏が確定し、商圏内の住民のみを取り込めるのか、それとも商圏外の人間、つまり労働者や旅行者などを取り込めるのかが変わってきます。
例えばUSJやその近辺にあるカフェ店であれば、日本全国からの集客が期待できます。
一方で、東京都多摩地域のカフェ店であれば、商圏内に住んでいる住人からしか集客できません。
前提条件により思考の方向性は大きく変わりますので、しっかりと確認するようにしましょう。
STEP②客側と店側の視点から構成要素をそれぞれ分解する
このケースにおいても、需要(客)側と供給(店)側の視点で要素を分解して考えます。
需要サイドから要素を分解すると、以下のようになるでしょう。
売上=(商圏人口+昼間人口)×当該カフェ店の利用割合×利用頻度
一方で供給サイドから要素を分解すると、以下のようになります。
売上=客数×客単価
個別の店舗なので、さらに以下のように詳細に分解することができます。
売上=営業時間×営業日数×1時間あたり見込み客×客単価
STEP③どちらのアプローチが適切か思考する
上記の通り、需要サイドと供給サイドそれぞれからの要素分解ができました。
ではどちらのアプローチを適用する方が、より正確性が高まるか考えてみましょう。
結論から言えば、供給サイドからのアプローチです。
というのも、需要サイドでは「商圏人口」を定義するのが非常に曖昧になってしまいます。
店舗から半径500m、1㎞、と設定する数値が変われば、大きく結果も変わるでしょう。
このように、振れ幅が非常に大きい曖昧な項目については、極力使わないのがケース面接の鉄則です。
一方供給サイドの式には、特に問題点はありません。
ある程度感覚値でも正確性の高い計算ができるでしょう。
そのため、個別のカフェ店の売上を考える際には、「売上=営業時間×営業日数×1時間あたりの見込み客×客単価」という式を利用していきます。
STEP④実際に数値を当てはめて計算する
あとは具体的に式に落とし込んでいくだけです。
1時間あたりの見込み客は、さらに「席数×回転率」と言った要素にも分解できるでしょう。
カフェの滞在時間はおよそ30分が標準でしょう。
そのため、1時間あたり2人の来客を見込めることになるので、回転率は2倍ということになります。
全体の市場規模のようなマクロなテーマと、個別のカフェ店というミクロなテーマでは、利用するアプローチが異なります。
だからこそ、1つの分析においても複数の視点をもって考えるということが大切になるのです。
カフェチェーン店全体の売上を考える際のアプローチ
続いて、「スターバックスコーヒー全体の売上」というように、とあるカフェチェーン店全体の売上を考える際のアプローチについて、解説していきます。
思考の流れとしては以下の通りです。
- カフェ全体の市場規模を考える
- スターバックスの選択割合を考える
上述した通り、カフェの市場規模は、その後の様々なアプローチにも応用することができるのです。
では、具体的な思考のフローを見ていきましょう。
STEP①まずはカフェ市場の全体売上を計算する
カフェ市場の全体売上については、上記で説明した通りです。
利用する計算式は「カフェ市場の売上=単価×利用客数(日本人口×カフェの利用割合×利用頻度)」となります。
上記の説明では、カフェの市場規模は7800億円と算出されました。
しかし実際には1.3兆円程度と言われています。
ケース面接なので、もちろん乖離が出るのは仕方ないことです。
ただ、この1.3兆円という数字が頭にデータとして入っている場合には、余計な計算は省いて、その数値をそのまま使ってもOKです。
STEP②スターバックスの市場シェアを考える
スターバックスコーヒー全体の売上は「カフェ市場の全体売上×スターバックのシェア」により計算できます。
具体的な市場シェアについては、スターバックスの選択比率と読み替えてもOKです。
出店状況や自分自身、そして周囲の人間のスターバックスの利用頻度なども踏まえて、ある程度のシェアを予測し、回答するようにしましょう。
STEP③カフェ市場の売上にスターバックスの市場シェアを乗算する
カフェ市場全体の売上と、スターバックスのシェアの数値がそれぞれ出れば、あとは乗算するだけです。
以上のプロセスにより、とあるカフェチェーン店の全体売上を算出することができます。
カフェ店の個別商品の売上を考える際のアプローチ
続いて、カフェ店の個別商品の売上を題材にされることもあります。
単に出題されるだけではなく、カフェ店舗の売上を向上させるために、個別商品のプロモーションを強化するという具体的な施策を考える際にも有効です。
具体的な思考アプローチは、上記で紹介した方法を組み合わせ、応用していくだけです。
STEP①個別カフェ店の売上高を計算する
まずはカフェ店舗の売上高を計算します。
算出方法については、上述の通りで供給サイドからのアプローチが有効です。
使う計算式は、以下の通りとなります。
売上=営業時間×営業日数×1時間あたりの見込み客×客単価
この計算ができたら、次のステップへと進みます。
STEP②個別商品の選択比率を志向する
売上高が算出できたら、次は消費者が当該商品を選択する比率について考えます。
正確な数値については、算出はほぼ不可能です。
そのためアバウトで構いませんが、説明する際は必ず自分自身の経験なども添えるようにしましょう。
ただ、漠然と個別の選択比率を算出するだけではなく、MECEに思考することを心がけてください。
例えば「エスプレッソコーヒー」について考えるとします。
この時、エスプレッソコーヒーだけを頼む人もいれば、ケーキやパンなどとセットで購入するという人もいます。
1杯は普通のブレンドコーヒーを頼み、2杯目としてエスプレッソコーヒーを頼む人もいるかもしれません。
それぞれについて細かすぎる検討をする必要はないですが、自分が幅広い視野を持っているということをアピールするためにも、できるだけ掘り下げて考えるようにしましょう。
STEP③個別カフェ店の売上高に個別商品の選択比率を乗算する
ここまでで、カフェ店舗の売上と商品の選択比率が出そろいました。
あとはそれを乗算するだけです。
以上のステップにより、個別カフェ店における特定の商品の売上高を求めることができます。
ケース面接でカフェの売上規模を思考する際に注意するポイント
ケース面接では、カフェの売上規模に関連したテーマは多数出題されます。
その際に、注意しておきたいポイントをまとめました。
カフェ以外のテーマであっても同じです。
ケース面接に臨む前に是非チェックしてみてください。
できるだけシンプルな方法で思考する
思考する際はできるだけシンプルに、ということを徹底しましょう。
レベルを高く見せようと、かなり複雑に考えようとする人もいますが、逆効果です。
限られた時間の中で自分自身で整理した思考ができなくなり、かなり時間を消費してしまうでしょう。
また、混乱した状態では分かりやすい説明ができるわけもありません。
因数分解の過程においては、ある程度細かく感がる必要がありますが、あまり詳細に考えすぎないようにという点も注意してください。
具体的な数字を当てはめる際はキリの良い数字でOK
ケース面接中は、必ず計算する場面が訪れます。
その際は完全に正確な数字で考える必要はなく、キリの良い数字を使えばOKです。
例えば日本人口の場合、2020年8月現在1億2593万人ですが、これをそのまま当てはめるとかなり計算が複雑になります。
実際に計算する際には、1.2億人もしくは1.3億人という数値で全く問題ありません。
比率等を計算する際も、細部までこだわるのではなく、あくまでもざっくりと計算するということを心がけましょう。
売上向上施策を考える際にはより変動幅の大きい変数に着目する
ケース面接では売上高を求めるだけではなく、その売上高を増加させるための方法をよく問われます。
その際は、因数分解した要素から特に効果の大きい要素を特定し、その要素にアプローチする方法を考えていきます。
例えばカフェ店の売上増加を考える場合、アプローチとしては
- 単価を上げる
- 来客数を増やす
という2通りのアプローチがあります。
このうち、単価にはそれほど変動幅がありません。
一方で、来客数については施策次第によって大きく増減する余地があります。
施策を考える際には、必ず変動幅が大きい要素に着目するようにしましょう。
ケース面接でカフェ関連のお題が出題された際の対策まとめ
ケース面接におけるカフェを題材にしたテーマは頻出です。
そのため、コンサルティングファームへの就職を目指す人は、一通り回答できるようにしっかりとマスターしておきましょう。
もちろん、カフェ店以外にも様々なテーマが題材になる可能性があります。
しかし、いずれも大きく考え方が変わるということはなく、本記事で紹介したアプローチで応用可能です。
多様な考え方を習得しておくことで、それらを組み合わせた新たな思考法が浮かんでくることもあります。
コンサルティングファームの面接に臨む前には、是非幅広い考え方に挑戦し、自分の思考法をブラッシュアップさせておくようにしてください。
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