コンサルタントを目指す方なら一度は耳にしたことがあるであろう「Big4」という名称。
このBig4とは、コンサルティングファームの中でも、特に大きな存在感を誇る存在です。
この記事では、コンサルティング業界のBig4について、その概要や各社の特徴などを紹介しています。
「Big4について知りたい」「Big4への就職を目指している」という方は、是非参考にしてください。
BIG4とは
コンサルティング業界のBig4とは、以下4つのコンサルティングファームを総称した名称です。
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- KPMGコンサルティング
- EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
上記4つは、いずれも世界4大監査法人の一角です。
つまり、そもそも大元の組織が監査法人であるコンサルティングファームのことを、「Big4」と総称しているんですね。
監査のみではなく、経営方針まで関わるように
元々Big4の各社は、会計事務所として監査業務をメインに行っていました。
監査とは、クライアント企業の財務状況を観察し、その経営についての文書を作成する業務です。
有価証券報告書等の仕事が、最も想像しやすいでしょう。
しかし、20世紀終盤からコンサルティング業界が活況を迎えています。
その中で、各会計事務所は「企業状態を正確に把握できるという知見が、コンサルティング業務にも活かせる」と考えるようになりました。
そして、元々は監査業務だけを行っていたのが、その知見を土台に、クライアント企業の経営方針にまでアドバイスや実行支援を行うコンサルティング業務も行うようになったのです。
Big4各社は、世界各地にネットワークを有しているということもあり、所有しているデータの量も膨大です。
その強みは、中小のコンサルティングファームはもちろんのこと、大手のコンサルティングファームにも引けをとりません。
この世界中に抱える膨大なデータ量、ネットワークが、Big4だからこその大きな強みとなっています。
コンサルティングを廃止してその後に復活
実は、Big4は一旦コンサルティング業務から撤退していました。
というよりも、会計事務所がクライアントにコンサルティング業務を行うことが、2002年にアメリカで制定されたSOX法という法律により禁じられていたのです。
そもそも、SOX法が制定されたことには、以下のような背景があります。
- 「監査業務とコンサルティング業務を混同すると、適正な監査ができず、不正の温床になるのでは?」という批判が生まれた
- 2001年10月、アメリカの大手企業エンロン社が巨額の粉飾決算による不正会計事件を引き起こした
- 2002年、Kマートやグローバルクロッシング、ウェイスト・マネジメントなど、他のアメリカ有力企業も次々に不正会計を行っていたことが発覚
- 2002年、SOX法の制定により、会計事務所がクライアント企業にコンサルティングを行うことが禁じられた
上記の背景により、Big4は自社で設置していたコンサルティング部門を解体したり、他社に売却したりする必要を迫られ、コンサルティング業界からは姿を消しました。
しかし、その後Big4は、中小規模を中心とした、他社コンサルティングファームを買収することにより、コンサルティング業界へと舞い戻ってきています。
自社でコンサルティングサービスを行うのではなく、コンサルティングファームを傘下に収めるという形態です。
そして、元々各社が有しているデータ量やネットワークといった経営資源を存分に生かすことにより、再びコンサルティング業界においてもプレゼンスを高めることに成功しました。
コンサル業界BIG4の紹介
コンサルティング業界のBig4とは、
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- KPMGコンサルティング
- EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
の4社です。
以下、各社の特徴を紹介していきます。
デロイト トーマツ コンサルティング
公式サイト:https://www2.deloitte.com/jp/ja.html
社員数 | 約2700人 |
拠点数 | 141拠点 |
デロイトトーマツコンサルティングは、監査を中心として、リスク管理やフィナンシャル、税務、法務といったサービス領域と資源・エネルギー・生産財、金融、政府・公共サービス、ライフサイエンスといったようなインダストリー領域など、幅広い領域のコンサルティングを手掛ける総合系ファームです。
世界最大ともいわれる「デロイト」の傘下にあり、Big4の中でも特に大きなプレゼンスを確立しています。
関連記事:モニターデロイトへの転職【プロが口コミ・年収などを徹底調査】
年収水準はBig4でもトップレベル
デロイトトーマツコンサルティングの最も大きな特徴は、Big4の中でも、特に年収が高いということです。
新卒の初任給であっても、600万円程度は貰うことができます。
ちなみに、BIG4他社を見てみると、概ね以下の通りです。
- PwCコンサルティング:550万円程度
- KPMGコンサルティング:500万円程度
- EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング:500万円程度
また、詳しくは後述しますが、デロイトトーマツコンサルティングは、実力主義、成果主義が色濃く出ているわけではありません。
そのため、収めた成果に関わらず、高年収を貰えるというのが、大きな特徴です。
日系企業に近い社風
デロイトトーマツコンサルティングは、外資系企業でありながら、日系企業に近い社風を持っています。
特徴的なのは、非常に研修が充実しており、かなり人材を成長させるための制度が整っているということです。
通常、外資系企業の場合には、徹底的な成果主義を標榜しており、満足のいく成果が出れば昇進、成果が出なければ解雇というような「Up Or Out」、そこまでいかなくても「Up or Stay」のルールが敷かれています。
しかし、デロイトトーマツコンサルティングでは、日系企業のように、長い時間をかけて人材を育成していくという方針を取っているのが特徴的です。
チームごとの垣根が低い風通しの良さ
通常、コンサルティングファームというと、プロジェクトチームごとの垣根があり、他チームとの連絡・調整などはあまりないものです。
成果を出したチームには、その成果の見返りとして、大きな予算が計上されるという点も、影響しているでしょう。
しかし、デロイトトーマツコンサルティングの場合は、チームごとの垣根が低く、異なるチーム同士でもシームレスに協力し合うという場面が多々あります。
デロイトトーマツコンサルティングが抱える案件は、非常に多岐に渡り、1つのチームだけでは解決できないケースも多いためです。
自分のチームだけではなく、他のチームにも貢献するという姿勢は、成果主義を標榜していないデロイトトーマツコンサルティングだからこその強みでしょう。
デロイト トーマツ コンサルティングの口コミ
デロイトトーマツコンサルティングの退職者及び現役コンサルタントの口コミをいくつか紹介します。
PwCコンサルティング/PwCアドバイザリー
公式サイト:https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/consulting.html
社員数 | 約2200人 |
拠点数 | 742拠点 |
PwCコンサルティングはプライスウォーターハウスクーパースのコンサルティング部門を担当する会社です。
元々、サービスごとに法人が独立していましたが、2016年2月にすべて集約される形で、PwCコンサルティング合同会社が設立されました。
世界158か国に拠点を設けているというネットワークの大きさが、PwC社最大の強みとなっています。
関連記事:PwCコンサルティングへの転職【プロが口コミ・年収などを徹底調査】
グローバルな環境
PwCコンサルティングは、Big4の中でも、特にグローバル展開をしているファームです。
上記でも紹介したように、全世界158か国に、全部で700以上もの拠点を設けており、そのグローバル展開はまだまだ続いています。
海外駐在になる可能性があるというだけではなく、日本国内で勤務している場合にも、海外案件を受注する機会が非常に多いため、かなり高いレベルでの英語力、外国語力が求められるのがPwCコンサルティングの特徴です。
また、今後のグローバル展開を標榜する企業からのコンサルティングも、多くPwCコンサルティングに依頼が届きます。
自由な社風
PwCコンサルティングは、風通しがよく、自由な社風であるということが強みの1つです。
「自分はこの領域に専門性がある。だからこの領域で勝負をしたい」というような主張を若手でもすることができ、実際の配属決定については、その要望が通ることも多々あります。
大手のファームだと、通常自分の望み通りの配属にならないことが多いものですが、PwCコンサルティングの場合は、自分が好きなフィールドで勝負できる土壌が整っているのです。
また、その風通しのよさは、実際にプロジェクトを進める際にも生かされており、若手社員であっても、社長やパートナーに自分の意見を主張することが許容されています。
非常に強い実力主義の傾向
PwCコンサルティングは、デロイトトーマツコンサルティングとは違い、実力主義を徹底しているのが大きな特徴です。
このあたりは、流石外資系企業といったところでしょう。
前述の通り、自由さが認められている分、大きな責任も伴います。
自律的に自己研鑽に励まない人間はどんどん淘汰されていき、同期に年収額で大きく水を開けられることもあります。
Up Or Outまで厳格なルール適用はないので、会社に居座ろうとすれば可能だが、やはり居づらさを感じるように、結果的に退職してしまう人も後を絶たないそうです。
PwCコンサルティング/PwCアドバイザリーの口コミ
PwCコンサルティング及びPwCアドバイリーの退職者及び現役コンサルタントの口コミをいくつか紹介します。
KPMGコンサルティング
公式サイト:https://home.kpmg/jp/ja/home/about/kc.html
社員数 | 1153名 |
拠点数 | 147拠点 |
KPMGコンサルティングは、オランダを本部とするKPMGのコンサルティング部門の会社です。
主に、ビジネストランスフォーメーション、テクノロジートランスフォーメーション、そしてリスクアンドコンプライアンスの3つのビジネスフィールドにおいて、独自のネットワークを活かし、コンサルティング業務を行っています。
関連記事:KPMGコンサルティングの転職【プロが口コミ・年収などを徹底調査】
年収水準が低い
KPMGコンサルティングは、Big4の中でも年収水準が特に低いファームです。
初任給では最大でも500万円程度、その後年次を経ても、600万円程度に留まるコンサルタントがほとんどです。
Big4だけではなく、コンサルティング業界の中でも、決して高いとは言えません。
少数精鋭である
KPMGコンサルティングは、Big4他社と比べて、少数精鋭で動いています。
そのため、一人ひとりに与えられる仕事の幅は非常に広く、業務を通じてかなりやりがいを感じられることでしょう。
ビジネス戦闘力を身に着けていく上では、KPMGコンサルティングが最高の環境であるとも考えられています。
一方で、Big4の中でも特に激務になりがちという点も、大きな特徴です。
年収水準も低いということで、Big4の中ではややブラック気質が色濃いファームと言えるでしょう。
RPA案件に強い
RPAとは、Robotics Process Automationのことで、これまでヒューマンリソースに頼っていた業務をAIや機械学習に置き換え自動化することを指します。
近年の急速な社会変動により、ホットとなりつつある領域です。
KPMGコンサルティングは、このRPA導入に特に注力しています。
例えば、2018年3月に早稲田大学が業務改革の一環としてRPA導入を決めた際には、その支援をKPMGコンサルティングが行いました。
今後もRPA案件には、よりエネルギーを注いでいくものと考えられ、RPAに見識を持つ人材は、有利に選考を進められるかもしれません。
KPMGコンサルティングの口コミ
KPMGコンサルティングの退職者や現役コンサルタントの口コミをいくつか紹介します。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
公式サイト:https://www.eyadvisory.co.jp/
社員数 | 約1800人 |
拠点数 | 3拠点(グループ全体で700拠点) |
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは、国内に3拠点を設けるコンサルティングファームです。
大元の組織は、イギリス・ロンドンに本拠を設けるアーンスト・アンド・ヤング社で、全世界150か国合計700都市に拠点を設けています。
2017年度には世界トップレベルの大学生及び大学院生を対象にした就職人気ランキング(World’s Most Attractive Employers)のプロフェッショナルサービス部門において、第3位に輝いた会社です。
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ベンチャー気質が強い
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは2010年11月に設立されたばかりの新しい企業です。
EYグループのネットワークを活用しながら急速に拡大しているものの、Big4他社と比べると、遅れを取っている面は否めません。
しかし、だからこそ、余計なしがらみや前例のない状態で仕事ができる、というベンチャーならではの強みもあります。
また、一人ひとりに任される仕事の幅も広く、若いうちから様々な仕事の経験を積むことができるのも、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの魅力の1つです。
穏やかな社風
コンサルティングファームと言うと、それぞれのプライドが高く、また徹底的な成果主義のルールのもと、ガツガツとした人材が多いというイメージがあるでしょう。
しかし、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは、Big4の中で最も落ち着いた、大人な雰囲気があるという評判です。
実際に、採用選考においても、その社風が垣間見える部分があり、
- 「非常に穏やかで学生に対して優しい対応をしてくれる」
- 「穏やかで品の良さを感じた」
というような口コミが多数ありました。
その穏やかさも手伝って、困った時にはすぐに手伝ってもらえるといった、チームワークの良さも、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの強みとなっています。
選考においてグループディスカッションが多い
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは、採用選考においてグループディスカッションが多く実施されます。
通常は、多くの志望者をふるいにかけるために一次選考で行われるものですが、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの場合、ある程度人数を絞った段階においても、グループディスカッションが行われるようです。
この点からも、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングが特にチームに貢献できる人材を求めているということが伺えます。
コンサルティングファームの採用選考においては、ロジカルシンキングやプレゼンテーション能力など、個人のスキルがより重要な評価ポイントとなっていることが多いです。
しかし、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングにおいては、それと同等以上に、コミュニケーション能力が求められることは1つの特徴と言えるでしょう。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの口コミ
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの退職者や現役コンサルタントの口コミをいくつか紹介します。
まとめ:BIG4の違いを学んで自分にあったファームを選ぼう
この記事では、コンサルティング業界のBig4と呼ばれる「デロイトトーマツコンサルティング」「PwCコンサルティング/PwCアドバイザリー」「KPMGコンサルティング」「EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング」の4社について、その特徴をまとめました。
Big4は非常に社会的知名度が高いため、就職に成功すれば、多くの人に羨ましがられるでしょう。
しかし、その社風が必ずしも最適な社風であるとは限りません。
もし、合わない会社に就職してしまえば、むしろ地獄を見ることもあります。
そのため、会社選びに際しては、しっかりと企業研究を深めて、自分に合った社風を選ぶことが重要です。
Big4への就職・転職を希望される方は、この記事を参考にして、自分に合ったファーム選びの一助としてください。
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